top of page

経堂の和食屋
 

230804_KAN_0024-v2.0-edit-S
230804_KAN_0471-v2.0-edit-S
230804_KAN_0608-edit-S
230804_KAN_0548-edit-S
230804_KAN_0826-edit-S
230804_KAN_0793-edit-S
230804_KAN_0732-edit-S
230804_KAN_0781-edit-S
230804_KAN_0554-edit-S
230804_KAN_0521-v2.3-edit-S
230804_KAN_0527-edit-S
230804_KAN_0438-edit-S
230804_KAN_0440-v2.0-edit-S
230804_KAN_0488-v2.0-edit-S
230804_KAN_0500-B-edit-S
230804_KAN_0386-edit-S
230804_KAN_0418-B-edit-S
230804_KAN_0391-edit-S
230804_KAN_0212-edit-S
230804_KAN_0224-edit-S
230804_KAN_0346-B-edit-S
230804_KAN_0219-edit-S
230804_KAN_0308-v2.0-edit-S
230804_KAN_0192-edit-S
230804_KAN_0122-edit-S
230804_KAN_0039-B-edit-S
230804_KAN_0114-edit-S
230804_KAN_0082-edit-S
230804_KAN_0062-v2.0-edit-S

経堂駅前商店街の交差点に立つ雑居ビル2階の日本料理屋である。料理人でもある店主は日本のうつわのコレクションをしており、金継ぎ等日本のうつわの持つサステナブルな思想も店づくりに反映したいと考えている。

 

彼が空間デザインに求めたのは、以下の3点である。

1 全来客がうつわのコレクションを見比べ、酒を飲む為に選ぶことができる

 

2 店主が全席種の来客(通常カウンター+ハイカウンター+小上がり)からのオーダーを厨房から直接取ることができる

 

3 空間が交差点の人々を惹きつけ、ビル二階の店に導ける

これらの解決を目標に設計を進めた。まず全体の平面計画を決定付けるカウンター、テーブルは厨房を中心に同心円状に配置した。これによりカウンターは勿論、テーブル席と厨房の距離を最短にした。さらに全ての客種のカウンターが同じ高さとなるように、床高を三段階に設定した。これにより、店主が首を上下に動かさずに全席種の来客と対話できるようにした。

上記の操作により、店主は全ての来客の注文を厨房からスムーズに取ることができるようにした。また来客と店主の目線の関係の統一は、全ての客の居心地の良さにも繋がる。さらにはカウンターの掃除もし易くなる。

ワイヤー吊と金網の併用による全方向からうつわを視認可能な棚は厨房と廊下の間に配置した。これにより来客は食事中は勿論、玄関ドアを開ける時、飲食空間にアプローチする時、トイレを待つ時、等様々なシーンでうつわを様々な距離や光で比較できる。

またこの棚は和食屋に頻繁に求められる玄関と飲食空間の視線の隔てでもある。うつわの立面はさり気なく、ルーバーの様に来客のプライバシーを確保する。

客席の天井は、カウンター席から外壁沿いのテーブル席に向けてレベルが上がる勾配天井とした。なおアルミエキスパンドメタル仕上とし、アッパーライトにより面全体が光を反射するようにした。この勾配により交差点から2階を見上げる人々には光る天井面がより広く見えてくる。この天井は交差点から内部間取りを感じさせ、内部空間が見えない不安感を解消する。

 

この店舗の「選ぶ」×「使う」という複合的な経験は、「選ぶ」のみの販売店や「使う」のみの和食屋ではできない。この経験が実現する背景には、経年変化や金継等の補修はうつわの「成長」と捉える文化がある。この経験が大量生産大量消費型の食器利用を再考する端緒になればと思う。

撮影:小野寺宗貴

設計: 2022/12~2023/6

施工: 2023/7~8

bottom of page